「ささはたドッとこむ」
東京都渋谷区幡ヶ谷・笹塚商店街連合会
インターネット事業実行委員会委員長
下嶋倫朗さん
景気の低迷や大型店の進出で、最近元気がないといわれる商店街を活性化しようと、全国でさまざまな試みがなされている。インターネットのホームページを開設して地域の人たちに情報を発信している商店街も、これまでいくつか見られる。
東京の西部を走る京王線沿いの渋谷区笹塚と幡ヶ谷の10商店街のホームページ「ささはたドッとこむ」は、掲載店舗数700と国内最大の規模である。この名前には、お客さんがドッと押し寄せて込み合うほど活気のある商店街にしようという地元の期待が込められている。コンテンツ(内容)には商店街のイベントや歳末・中元時の売り出しセールの情報、商店街のストリートマップ、ここまで来る交通手段などが掲載されている。
2年前の夏から取り組みが始まった。スタートからのご苦労を下嶋さんに伺った。
「この地区には人を呼び込むだけの”売り”がなかったので、ひとつホームページを作ってお客さんに親しみを持ってもらい、利用してもらおうということになったのです。どうせなら1つ2つの商店街ではなく、10の商店街を集めて、数を力にしようと思ったのです。
ただ、各商店街の会長さんの中にはパソコンにさわったことのない人もいるし、ましてやインターネットやホームページとなるとわからない人が多かった。それに商店街がいろいろなお店の集合ですから、地元の店と全国ブランドのチェーン店とではパソコンに対する”温度差”が違います。この企画を理解してもらうのに苦労しました。
まず、各商店街にいる”パソコン通”といわれる人を集めて研究会(現在は実行委員会)をスタートさせ、同時に商店街ごとにインターネットの講習会を催して、でき上がったホームページを見てもらい理解してもらうよう努めました。
資金のほうは、中小企業振興公社の国庫金、区の助成金、地元の商店街が各々3分の1ずつとし、さらに区の近代化資金を借りて、”各お店からは1銭も貰わないで全店参加”を基本にしました。お金をとらなかったことが成功のもとだと思っています」
700のホームページを作成するには、営業時間や店それぞれの事情や希望があり、相当の手間がかかったようだが、掲載にあたっては、お店の売り物を出すだけでなくご主人と店員さんの顔の写真を出してお客さんに親しみをもってもらうなどの工夫をしたという。
「掲示板」のページには、お客さんから「こんな所にこんな素敵なお店があった」とか「このお店は美味しかった」といった内容の書き込みが1日20通もあるという。また、近くの甲州街道でミキサー車の大事故があったときには、事故を知らせたり、詳しい事故の追加報告が寄せられたりと、双方向のコミュニケーションが成立した。さらにクリスマスのイルミネーションでも、1店が始めたのが伝わって、ウチでもウチでもと飾りつけの輪が広がったという。「当初、『ウチはいいよ』と断っていたお店も『ぜひ』と言ってきてますし、セールをするとお店にもお客さんにもいままで以上の盛り上がりが感じられます。飲食店にはいままでになかった思わぬ注文が入ったりしているようです」
ホームページが評判になって、いままで商店街の会員ではなかったお店が入会するケースも増えた。会員が増えれば、商店街全体の活性化につながっていくのは目に見えている。「チラシのように売り上げの効果はすぐ出ないでしょうが、ハートを伝えるコミュニケーションの場として長い目で見ています」